校長室より

八王子市立石川中学校長 櫻井 郁男

「新 年 度 に あ た っ て」

 日増しに久保山公園が新緑に萌え、初夏を思わせる日差しに子供たちの歓声が聞こえます。石川中学校は新入生に190名を迎え、全校生徒584名で平成20年度が動き出しました。
 学校はあわただしい日々の連続ですが、昼休みや放課後には子どもたちの歓声が校庭に響いています。また、職員室はよりよい学校づくりを目指し活気に満ちています。本校の伝統ある教育活動のよさを引き継ぎ、日々の授業を充実させ、子どもたちの学ぶ意欲を育ててまいります。
 さて、年度当初、教職員に今年度の方針を示すわけですが、参考として各企業トップが新入社員へ語りかけている言葉を参考にしています。校長が日頃どんなことに思いを巡らせているのか知っていただきたく、ここ数年、私の心にとまった企業トップのメッセージを皆様にもいくつか紹介させていただきます。

 中略

 いかがでしょう。各企業トップの言葉は、保護者の皆様、教職員、それぞれの立場で心にとまることは異なるとは思います。
 学校経営の視点で私が心がけたいことは「コンプライアンス、法令遵守」「トランスペアレンシー、透明性」です。常々思うことですが、
 教育は学校の取り組みのみで成果が上がるものではありません。また、校長の経営判断には保護者・地域の皆様のご意見は大変貴重であります。地域にはぐくまれた石川中学校のよさを引き継ぎ発展させていくために、「信頼される学校」「開かれた学校」を実現してまいります。
 そこで、年度当初本校教職員に示した私の教育観を皆様にもお知らせいたします。


  日本の教育の方向と学校経営

 教育には不易と流行がある。
 不易は人格の形成であり、平成18年12月に改訂された「教育基本法」にその理念が示されている。
 流行とは、今後我が国が進むべき道筋に思いを馳せ、国民の幸せと国家の繁栄を支え続けるために、諸課題の解決に応えることができる人間の育成である。従って「流行」は時々の社会の趨勢により検討されるべき資質である。平成20年(2009)年2月に示された「学習指導要領」が、これにあたる。
 ここまで述べて気づくことがある。本市の教育目標(平成13年度決定)、本校の校訓・教育目標(創立以来)と、これからの学校教育のあり方を述べた次期学習指導要領の関係である。「不易」と「流行」が混在している教育行政・教育現場で、未来を託すべく子供たちと日々接している私たちは、保護者の願いをうけとめ、子供たちの夢を実現させる教育活動をおこなうために、研修と修養に努めることが求められる。
 さて、これからの我が国が進むべき方向を見据えたとき、少子化・高齢化・国際化・情報化における諸課題を克服しつつ、世界の人々と共存共栄の道を探ることが大切である。従来からの拡大再生産・消費型社会の産業構造の中で、高度にシステム化・マニュアル化された産業社会を支える「一員」を育成しがちであったわが国の教育は、大きく見直された。戦後、否、明治時代から続いたわが国の教育制度・教育内容だけでは、これからの国際社会の中で、現在の繁栄を維持しつつ「名誉ある国」を担う人材を育成することは困難となってきたからである。さらに、国際社会におけるグローバル化とフラット化は否応なく進み、日本人に生まれたという「優位」さえ急激に薄れている。
 次にわが国の教育の現状を省みると、「きれる子」に象徴される突発的・短絡的行動や薬物への依存、性非行にみられる享楽的問題行動が多発している。さらに情報通信機器が一人一人に行き渡り、その利便性を享受しつつも危険性への対応策は乏しく、大人の規範意識の低下と相まって、子どもたちの健やかな成長を阻害している。
 国家の生き残りをかけた変動の時代に「人間を人間らしく育てる」という教育本来の役割を果たし、国際社会において「名誉ある国」を支え、自らも生涯にわたり心豊かにすごす人間の育成のために、新学習指導要領で示されている教育の方向性に敏感になりつつ、本校の教育環境を最大限活用した教育活動を推進する。